映画「アイ・イン・ザ・スカイ」

副題は「世界一安全な戦場」。2016年の映画。

現代の戦争。現場はケニアで起こっているが、今やドローンでピンポイント攻撃する時代。米英の共同作戦なので作戦指揮はロンドンで行い、ドローンのコントロールはラスベガスの基地内のコンテナの一室で行う。
そこにはテロや戦争に無関係な一般市民が普通に日々の生活を行なっている。邪悪なテロリストを攻撃すると当然巻き添えを食らう。しかも、命令はネットのチャットで指示する。
一方、テロが実行されると約80人が犠牲になる。この映画では攻撃目標の家の隣でパンを売ってる少女一人の命と、80人の犠牲者を天秤にかけて作戦が二転三転していく様が描かれている。

イギリスは議会民主制なので、作戦の決定までに大臣の許可や首相の許可、議会の承認やらみんながOKしないと決まらない。一方、アメリカは大統領がOKと言えば誰が犠牲になろうが状況が少々変わろうがGO。これは思った通り。しかしアメリカのドローンのオペレーターは命令とはいえミサイルの発射ボタンを押して少女を殺したくない、、立ち位置の違いによる人間性がうまく描写されていて実に面白い映画だった。

自分がこの立場の人だったらどうするだろう、、、と考えると難解な問題を解いているようになった。

近い将来は作戦立てやオペレーター役は人間ではなくAIが行うであろうが、そうなると生存率や成果の確率を即座に計算し勝手に攻撃するのかと思うとまるでTVゲームと変わらない、、、。

以前よく似た映画を観た覚えがあるので調べたら「ドローンオブウォー」という映画だった。
これはドローンのオペレーターの視点をメインにした内容だったが、発射ボタンを押して任務を完了した後、、、要するに戦争の実感や人を実際に殺した実感がが全くないまま、自宅に帰り子供や奥さんと幸せな時を過ごす、、、ということへの罪悪感がテーマだった。

この2つの同じ2016年の映画はゲーム感覚で戦争をやることへの警鐘を鳴らしているのだろう、、、。
http://d.hatena.ne.jp/district57/20160927/1474975768