映画「王様のためのホログラム」

この映画はストーリー自体は単調で大して面白くないのだが、今問題になっているサウジのジャーナリスト殺人事件を理解する上で是非観ておいたほうがいいと思う。

主人公はトムハンクス。崖っぷちの営業マンが会議用の3Dホログラムシステムをサウジの王様にプレゼンするために奔走するストーリー。
サウジの王様は絶対であり、予定していてもいつ会えるかわからない通常の感覚ではあり得ない絶対君主制の感覚が分かる。また、サウジでイスラム教のルール、そして王様のルールを守らないと即処刑的な怖さも伝わってくる。よくメッカで撮影なんか出来たな、、と感心した。王様はすごい、、、というのがよく分かる。

さて、現実のサウジは、、やはり絶対君主制。王様に逆らってはいけない。王様に逆らう事は死刑を意味するのでサウジのジャーナリストがトルコのサウジ領事館で生きながら切断されたなんて事は十分ありえる。
イスラム教って権力を持ってる人にはとても都合の良い宗教なのでどうにでもなる。あれだけ厳格な戒律のイスラム教なのに解釈の仕方で殺人が正当な行為としていとも簡単にできてしまう。
権力争いのために王様が王族を公開処刑、、、〇〇が汚されたので名誉の殺人がOKであったり、異教徒の女性はレイプOKとかもはや我々法治国家の感覚では理解できない。

今回、出てくる証拠からサウジの王様がジャーナリストの処刑を命じたのは間違いないが、アップルウォッチに殺害時の音声が録音されていたなんてまるでサスペンス物の映画みたいで目が離せないのだが、今後の展開が興味深い。
サウジは親米国家なので映画のように米企業がサウジにプレゼンで入れる。また、サウジはアメリカにとって武器の最大のお得意様。しかし、人権とか言論の自由についてはうるさい国。特にアメリカに亡命しているジャーナリストを処刑したのだから、アメリカとしてはなんらかの制裁をしなければならない。

ここでトランプ大統領の今後の動きが「踏み絵」になると言われている。ビジネスライクであれば無罪放免、ただし世界からはちょっと距離を置かれる。制裁すればサウジとの良好な関係にはヒビが入る。まさしく踏み絵なのだ。
正義感の強いアメリカ人からすれば今後の選挙にも影響するのでちょっと今後の動向が気になるところ。